「どうしてヘルメットかぶっているんですか?」
私は、電動車椅子に乗り外出する時は、いつもヘルメットを被っているのですが、時々、このような筆問を受けることがあります。
その答えは、とても単純なことなのですが、車椅子で転倒してしまったときに「頭をできるだけ安全に守るため」です。
私は、自転車の転倒事故により障害者となりました。実は、その時もヘルメットを被っていたのですが、頭を強打し頸椎を損傷したにも関わらず脳に障害がなかったのは、ヘルメットが守ってくれたおかげだと思っています。
また、車椅子生活になってから街中に出てみると、健常である時は全く気にならなかった、段差や凹み、急な傾斜など、車椅子だと危険に感じる場所が、街の至る所に存在することを知りました。
《転倒により頭を地面にぶつけた際に、頭にかかる力の大きさ》を調べた実験によると、ヘルメット有りよりも、ヘルメット無しでは4倍以上の力が頭にかかるというデータもあるそうです。
もちろん、障害者やお年寄りなど、すべての人に使いやすいバリアフリーの行き届いた街づくりを行っていく事は、すぐに取り掛かるべき問題だと思いますが、万が一を考慮し、たとえ転倒しても、自分自身で命を守る備えをしておくことも同じように大切ではないでしょうか。
令和5年4月より、自転車乗車時のヘルメット着用が努力義務化されますが、自転車だけではなく多くの車椅子ユーザーにも、未然に事故に備えた行動の輪が広がっていくことを期待しています。