非正規雇用の割合が急増していることをご存知でしょうか?
その割合は、全労働者のなんと約4割。
しかし、正社員と非正規雇用では、待遇が全く異なり、その待遇の悪さが非正規雇用者の生活を困窮させる一因となっています。
非正規雇用は、パートや契約、社員、派遣社員など、働き方の自由度が高く働き手のライフスタイルに合わせた働き方がしやすい労働形態とされています。
しかし、その反面、正社員と比べて賃金が低く、キャリアアップが難しいといった側面もあります。
例えば、期間限定の雇用であるため、勤続年数があっても責任のあるポジションへの昇進や昇給がなかったり、時給制で家族手当なども考慮されないところがほとんどです。また、昨今の物価高を受け、大手企業中心に賃上げの動きが進む一方、非正規雇用で働く人たちの待遇改善はなかなか進んでいません。
実際、国税庁による「民間給与実態統計調査(令和3)」によると、正社員と非正規雇用(正社員以外の人)の平均年収を比べると、正社員は約508万円、正社員以外では約198万円と、300万円以上の差があります。
つまり、企業にとって非正規雇用は、とても安い労働力ということになります。
また、企業が正社員を解雇することはとても難しいことなのですが、契約期間があり定期的に更新手続を行わなければならない非正規雇用は、企業の都合に合わせ契約の更新を行わないなど、離職を促すことが容易にできる理想の労働力といえるのです。
これが、非正規雇用が急増している大きな要因です。
しかし、人生は、結婚や出産など新しい家族が増えたり、子供の進学やマイホームの購入、両親が病に伏せたときなど、経済的な出費の増額が必要となる状況は、往々にしてあり誰もそこから免れることはできません。
給与の格差は年金や貯蓄の格差に表れるだけにとどまらず、結婚や出生率、子供の学力にも多大な影響を与えていると言われています。
また、企業にとっても、安定した質の高いサービスを提供するには、長期的な雇用により蓄積された技術がなければ、提供できないものもたくさんあります。
正社員の比率の低下は、帰属意識の低下や技術の蓄積・伝承にも支障をきたし、企業としての競争力の衰退へとつながるのではないでしょうか。
企業の真の強さとは、いかに労働力を安く使うかということではなく、働き方を見直して、いかに労働生産性を上げ、充実感や幸福感高く感じている労働者をどれだけ多く雇用しているかということだと思います。
目先の自由はあっても、安定の先にある自由には繋がらない非正規雇用という働き方が横行する現状は、労働者の人生設計を大きく歪める原因となりかねない由々しき問題です。このような、労働者と企業が互いに満足のいく結果に決して届かない非正規雇用という働き方は、直ちに見直すべきではないかと私は思います。