【これからの避難訓練に必要なこと】
東日本大震災からまもなく13年。
そして今年はその記憶が薄れる中で起こった、令和六年能登半島地震。
改めて大震災への備えの大切さを実感しました。
特に大震災では、救援隊や市職員が避難先に訪れるまで時間を要し、それまでは避難者が主体となり人命や安全を確保するとともに、避難所の必要最低限の運営を避難者が主体となって行わなければなりません。
実は、藤沢市には、市が作成した『藤沢市避難所運営マニュアル』というものがあるのを存知でしょうか?
これは、文字通り被災した際に避難所の開設及び運営方法を手引きしているものです。この様なマニュアルが、私たちの自治体で既に作成されているという事は、大変心強いことですが目を通すと、このマニュアルは被災後早い段階から市職員が避難所に派遣され、そのもとで避難所が運営されることが前提となっています。
しかし、もし大規模な津波が発生すれば、藤沢市でも沿岸部の広い範囲で被災し、家屋の浸水や倒壊は免れないでしょう。
また、藤沢市には津波避難ビルが140カ所(令和5年6月現在)もあり、道路の亀裂や瓦礫の堆積などによって移動が困難となれば、市職員の派遣が大きく遅れることは必至となります。
さらに、藤沢市の特徴として、南部は江ノ島へ訪れる観光客や夏には海水浴客が多く、被災する季節や時間帯によっては、津波避難ビルや避難所には周辺住民だけではなく、更に多くの人々が避難してくることも想定されす。
能登半島地震では、避難者が指定避難所に入ることが出来ず、避難所を独自に開設しなければならなかったケースも多数ありました。
では、救助者や市職員が避難所に訪れるまでの間、避難者が主体となり取り組むべき必要最小限の「避難所運営」とは、どのようなものがあるでしょうか。
私は次のようなことが考えられると思います。
・避難所の避難者数の把握
・避難所の避難者の名簿(名前、住所、連絡先、家族の有無、血液型)の作成
・避難者の持病や怪我、常服薬の有無などの健康状態の把握
・食料・水、防寒具、毛布などの確保、調達、分配
・行政との連絡
・仮設トイレの設置と管理
・防犯のための見回り
これらを、避難者の有志で担当分けをし組織的に実行することで、避難所での不安や混乱の軽減、そして安全の確保を効率的に行うことが出来るのではないでしょうか。
しかしながら、このような事は、被災時にいきなり誰もが出来ることではありません。そのためには日頃の避難訓練などで、避難所で起こりうる事例と共に理解を促したり、避難所備品の保管場所や品目の把握。また子供達にもゲーム感覚で担当分けや行動を知ってもらえる様な訓練の工夫など行ってみてはいかがでしょうか。
この様な取り組みは、被災時により多くの人命を助けるだけではなく、藤沢市に住む人々の安心や団結力、そしてこの地に住む覚悟と郷土愛を育むものと考えます。
被災者あふれ住民独自に避難所開設も多く 能登半島地震発生から1週間:東京新聞 https://www.tokyo-np.co.jp/article/301286
藤沢市避難所運営マニュアル
https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/kikikanri/bosai/bosai/hinanjo/documents/pdf_hinanjomanyuaru.pdf