厚生労働省の2022年12月時点の推計では、障害児・者の総数は約1,164万6千人。今や国民の約11人に1人が、何らかの障害を抱えています。
30年前の1995年と比較すると、その変化は一目瞭然です。
【30年間の比較】
総人口:1億2,557万人 → 1億2,400万人(▲1.2%・減少)
障害者総数:約600万人 → 約1,165万人(+94%・約2倍)
身体障害者:約293万人 → 約436万人(+49%)
精神障害者:約218万人 → 約615万人(+182%・約3倍)
知的障害者:約30万人 → 約127万人(+323%・約4倍)
65歳以上の高齢者:約1,827万人 → 約3,625万人(+98%・約2倍)
総人口が約1%減少している中で、障害者数は約2倍。精神障害者は約3倍、知的障害者は約4倍になっています。
■ この増加、何が原因なのか?
各障害の増加の背景として、以下のような要因が考えられています。
<身体障害者 +49%>
・高齢化による身体機能の低下(視力・聴力・肢体・内臓機能など)
・医療の進歩による、脳卒中・心疾患などの後遺症を抱えた生存者の増加
・生活習慣病(糖尿病・高血圧など)の増加による内部障害の拡大
<精神障害者 +182%>
・1995年の精神障害者保健福祉手帳制度の創設による統計上の可視化
・長時間労働・経済的不安・人間関係のストレスによるうつ病・不安障害の増加
・発達障害(ASD・ADHDなど)への社会的認知の向上と診断数の増加
・生活リズムの乱れや睡眠不足による精神的健康への影響
・高齢化に伴う認知症患者の増加(一部が精神障害として計上)
<知的障害者 +323%>
・療育手帳制度の普及と、軽度知的障害への認知度の向上
・特別支援教育の整備により、以前は見過ごされていた子どもが診断につながるケースの増加
・環境化学物質や周産期リスクが脳の発達に与える影響(研究段階)
ただし、これらは障害の種別によって関係の深さが異なります。また統計上の増加には「実態の増加」と「制度整備による可視化」の両面が含まれており、単純に一つの原因に帰することはできません。
■ もう一つ、知っておきたい数字
障害者統計とは別に、介護保険の要介護・要支援認定者数は2024年時点で約718万人。制度が始まった2000年の約218万人から、24年間で約3.3倍に増加しています。
障害者と要介護認定者を合わせると、約1,880万人——国民の約7人に1人が、何らかの公的支援を必要としている計算になります。
■ この数字の向こうにある問い
医療の進歩、障害への認知の広がり、高齢化——これらだけで、この30年間の増加をすべて説明することはできるでしょうか。
特に気になるのは、精神障害者が働き盛りの40〜50代を中心に約3倍に膨らんでいるという事実です。これは「社会が障害を発見できるようになった」という話だけでは、片づけられないように思います。
もし現代の社会構造そのものが、後天的に障害者を生み出す一因となっているとしたら——私たちは「支援をどう充実させるか」だけでなく、「なぜこれほど多くの人が傷ついているのか」という、より根本的な問いに向き合う必要があるのではないでしょうか。
この数字をどう受け止め、何を考えるか。それぞれの答えが、社会のあり方を問い直す切っ掛けになればと思います。