【あなたの隣の避難弱者 藤沢市に住む障害者として考える】

突然ですが、あなたの隣に、自力で避難できない人が住んでいることを知っていますか。

藤沢市には今、4人に1人の割合で高齢者が暮らしています(2025年1月時点・65歳以上)。そして私のように、自力での避難が困難な障害者もいます。地震や津波が来たとき、そういった人たちはどうなるのか——私も災害弱者として、この問題は他人事ではありません。

東日本大震災が残した数字

東日本大震災では、亡くなった方の6割が高齢者でした。また、障害者の死亡率が住民全体の2倍になった地域もあったと報告されています。逃げ遅れがその大きな原因のひとつでした。

あれから15年が経ち、今後南海トラフ地震の発生が予測される中で、災害弱者の「逃げ遅れ」という課題は、今なお解決されてはいません。

藤沢市の取り組みと、その限界

藤沢市では「避難行動要支援者名簿」という仕組みがあります。自力で避難することが困難な方——要介護3以上の方、身体・知的・精神障がい者、75歳以上のひとり暮らし高齢者など——を名簿に登録し、自治会・町内会・自主防災組織と情報を共有することで、地域での避難支援につなげようというものです。

この取り組みはとても重要です。しかし、残念ながら現時点ではまだ多くの人に周知されていないように感じます。また、名簿が集まったとしても、これを活用した安否確認や避難支援を行うための組織が各自治会に広く定着し、正しく機能するかはまた別問題です。

藤沢市のページにはこうも書かれています。

「災害の状況等によっては避難行動の支援をすることが困難になることもあります。避難支援の希望によって災害時の避難行動の支援を約束するものではありません」

つまり、名簿に登録していても、必ず助けてもらえるという保証はないのです。これは支援活動の難しさを正直に示しています。支援活動を行う人々もまた被災者であり、何が起こるか分からない状況の中では、支援を約束することはできないからです。

では、このことを前提とした上で、どうすればこの不確定な要支援者の避難をより確実なものにすることができるのでしょうか。

人助けはチームワーク

大切なことがあります。「誰でも人を助ける役割を持っている」ということです。

人助けは個人の力だけで行うものではありません。本格的な救助になれば、どんなに技術や自信があっても単独で行うことは大きな危険を伴います。人助けはチームワークで行ってこそ、最も安全に大きな力を発揮するのです。

では、私のような電動車椅子ユーザーが安全であった場合、何ができるのでしょうか。安否確認のために声をかけること、他の協力者を求めること——これだけでも十分に「救助の一部」になれます。チームとしての人助けの役割を、誰もが担えるのです。

私はかつて、東海大学在学中に藤沢・片瀬西浜でライフセイバーとして活動していました。そのとき学んだのも、まさにこのチームワークの重要性でした。どんなに自信があっても単独救助は最も危険——人を助けることは、一人でするものではないのです。

結局、日常のつながりが命を救う

災害時に最初に手を差し伸べてくれるのは、遠くにいる誰かではなく、隣に住んでいる人です。

もし被災時にあなたが支援できる状況にあったとして、危険を犯して見知らぬ誰かの安否確認や避難支援をすることができるでしょうか。たとえ訓練を十分にしていたとしても、それだけでは機能しないのが被災時ではないでしょうか。

普段から顔を合わせ、名前を知り、挨拶を交わしている——そのごく当たり前のことが、いざというときの命綱となります。「あの人を助けたい」。日常の人間関係そのものが、最大の防災インフラだと私は思っています。

私が藤沢市内の各駅で挨拶運動を続けているのも、実はこの思いからきています。

藤沢市のホームページには、避難行動要支援者名簿について詳しく書かれています。まずは地域の自主防災の仕組みや近所に住む人々に関心を持ち、「支援する立場」と「支援を受ける立場」の両方を想像することから始めてみませんか。

▶ 参考:藤沢市「避難行動要支援者の支援体制づくりについて」

https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/kikikanri/bosai/bosai/taisaku/yoengosha/shientaise.html

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