昨日、本鵠沼駅で、いつもの駅頭あいさつ活動をしていると、小田急電鉄・藤沢駅の副駅長さんが、私のところへ来てくださいました。先日来お伝えしてきた、本鵠沼駅などの駅係員不在をめぐる問題について、会社としての回答を伝えに来られたのです。
わざわざ足を運んでくださったことには、まず感謝しています。私はこの件について、書面での回答を求めていました。しかし、なぜか「会社としては書面での回答はできない」とのことで、口頭での対応となりました。そのため、この日の会話は、ご本人にお断りしたうえで録音させていただきました。
まずこの件について説明すると、小田急電鉄は、人材不足などを理由に、利用の少ない駅で駅係員の配置時間を短縮し、駅員が不在となる時間帯を広げています。江ノ島線の本鵠沼駅では、朝9時35分まで駅員が不在で、昼や夕方以降にも不在の時間帯があります。
車椅子を利用する私にとって、駅員のいない時間帯は、前日までに予約をするか、藤沢駅から係員が来るのを待って列車に乗せてもらわなければなりません。それだけではなく、駅の安全の確保という点でも、大きな不安が残ります。
特に、本鵠沼駅の周辺には私立学校もあり、通学で利用する子どもたちも多い駅です。それにもかかわらず、1日の中で最も利用者の多い朝の通勤通学時間帯に、何の対策も講じないまま無人化を進める小田急電鉄の姿勢に、私は鉄道会社としての責任の欠如を感じています。
■ 「人が足りない」のではなく、「減らしている」
副駅長さんの説明で、まずはっきりしたことがあります。それは、駅の無人化の理由として「人手不足」「なり手が少なく人材が確保できない」といった趣旨の説明をしつつも、会社自体が、利用の少ない小さな駅から係員を計画的に減らし、インターホン対応とする「無人化」への切り替えを、施策として意図的に進めているということです。
小田急電鉄は、本業の儲けである営業利益だけで、およそ527億円を稼ぐ大企業です。もし人材確保を積極的に行いたいのであれば、待遇を上げ、好条件の求人を出すことも可能なはずです。
しかし、小田急電鉄は会社の方針として「人材確保」よりも「無人化」を進めており、その一連の流れとして現状が生じていることは、いわば織り込み済みということになります。
■ 安全への懸念は、会社も分かっている
私が最も問いたかったのは、安全のことです。最も利用の多い朝の時間帯に駅員が不在であることを、皆さんはどのように思われますか。本鵠沼駅の駅員配置時間は、9時35分から12時00分、そして13時00分から17時50分までです。もし駅で急病人が出たら、ホームから人が落ちそうになったら、誰がすぐに動くのでしょうか。
この点について、同じような声は他の駅や他のお客さまからも寄せられている、とも話されました。つまりこれは、私一人の特殊な不満ではなく、会社も認識している組織的な問題だということです。
■ 現場は感じている、それが会社に届かない
さらに、対話の中で、印象に残った言葉があります。それは、副駅長さん自身も、安全性の後退について「それは私たちも当然思っている」という言葉で、現在の運営方針への懸念を認められたことです。それは、副駅長さんだけではありません。これまでに話した小田急電鉄の駅員や、小田急お客さまセンターの係員の多くが、安全面について「おかしい」と個人的には感じている、と認めているのです。
しかし、それが会社としての判断には反映されない。副駅長さんは、そうした現場と会社の隔たりについても、率直に語ってくださいました。
だとすれば、問われているのは、現場の声が上に届き、ものが言える組織であるかどうか、そして鉄道を運営するうえでの安全と責任という、会社の体質そのものです。危険をはらむ仕事だからこそ、現場が「おかしい」と感じたことを言える会社であってほしい。それは、利用者の安全に直結する話だと思います。
■ ポスターは、駅員の代わりにはならない
周知についても話が及びました。これまでの掲示はA4サイズほどのお知らせのみで目立たず、ホームページの案内も、各駅ページの奥まで入らなければ見られません。副駅長さん自身、掲示が少ないことは認められ、これから新たにポスターを作って掲示する、と話されました。
改善に向けて動くこと自体は、前向きなことだと思います。ただ、私が問うているのは、その先にある「安全と責任」です。駅員がそこにいることは、事故を未然に防ぐ大きな抑止力になります。しかし、ポスターを貼ったとしても、そこに駅員がいなければ、潜在的な危険性は、何も変わっていないのではないでしょうか。
「藤沢駅から向かいます」という対応も、以前この時間に駅員がいた頃と比べれば、明らかに安心・安全の水準は下がっています。事故が起きていないのは、対策が十分だからではなく、利用者一人ひとりの意識と協力によって、危険がまだ表面に出ていないだけなのです。
■ 最後に
私は車椅子を利用しているので、電車に乗るときには駅員さんの手助けが必要です。駅員さんがいてくださるおかげで、私は電車に乗れています。ですから、現場の方々を責めたいわけではありません。私が問いたいのは、安全への対策を伴わないまま無人化を進め、その説明を書面で求めたにもかかわらず口頭での対応にとどめる、会社としての姿勢です。
私は、鉄道会社とは、事業を行ううえで考えられる危険性に真摯に向き合い、取り組むことで「安心・安全」を高めていく——それが果たすべき「責任」だと考えていました。私が小田急電鉄に問い合わせたのも、現状に「危険」を感じたからです。
もちろん、この感覚は私自身のものです。小田急電鉄の安全に対する方針や基準と、私の感覚との間に乖離があること自体は、当然あり得ることです。企業として、その考えの違いをはっきりと示すこともまた、一つのあるべき姿だと思います。しかし、なぜ、問題があること自体は口頭で認めながら、会社としては書面での回答はできない、という対応なのでしょうか。私は「安全」という、最も誠実であるべき姿勢について問うているのです。
子どもたちの利用も多いにもかかわらず、最も忙しい時間帯に駅員がいない駅で、何も起きないことに頼り続ける今のやり方を、私たちはこのまま受け入れてよいのでしょうか。私は一人の地元住民として、看過することのできない状況だと思います。
この件については、今後、私からの書面での申し入れを行いたいと考えています。進捗があれば、また随時ご報告させていただきます。