【開示請求を行いましたーー福祉タクシー利用券の62.5%以上がタクシー会社に流れる衝撃】

【開示請求を行いましたーー福祉タクシー利用券の62.5%以上がタクシー会社に流れる衝撃】

■これは車椅子ユーザーだけの問題ではありません

先日、関東運輸局(神奈川運輸支局経由)に対して、行政文書開示請求書を提出しました。請求した内容は三点です。UDタクシー(ユニバーサルデザインタクシー・車椅子のまま乗車できる構造を持つタクシー車両)の補助金交付要綱、神奈川県内の補助金受給事業者リスト、そして車両指定料金の認可に関する文書です。開示決定まで最長60日かかります。結果が届き次第報告したいと思います。

今回この記事を書いているのは、開示請求の準備段階で入手した資料を読み込む中で、この問題の構造がより明確に見えてきたからです。

■そもそもUDタクシーは「一般料金で乗れる」はずの車両

意外に知られていないことですが、UDタクシーは本来、特別な料金を必要とせず、一般のタクシーと同じ運賃で利用できる車両として設計されています。国土交通省や事業者の説明でも、UDタクシーは「街中で呼び止めても予約しても、誰もが普通に使える一般のタクシー」であり、運賃は通常のタクシーと同じとされています。

ところが私が車椅子でUDタクシーを利用しようとすると、「車両指定料金」が加算されます。私が利用した際には、その金額は以前は1,000円程度でしたが、現在は1,500円に値上がりしていました。本来は一般料金で乗れるはずの車両に、車椅子ユーザーが乗るときだけ割増料金がかかる。この時点で、すでに制度の建付けと実態がずれているのです。

■補助金は今も出ている——しかも金額は最大100万円

今回入手した資料は、UDタクシーの導入を促進するための補助金制度に関する公式文書です。代表的な例として東京都が実施している「次世代タクシーの導入促進事業」の実施要綱・交付要綱・申請手引きを読み込みましたが、この制度はUDタクシーの普及を目的として、車両購入費用の一部をタクシー事業者に助成するものです。

驚いたのはその金額です。UDタクシー1台あたり、中小規模事業者であれば最大100万円、それ以外でも最大60万円が交付されます。そしてこの制度、令和7年度も受付を継続しており、申請期限は令和8年3月31日と明記されています。現在進行形の制度です。

さらに重要なのは、こうした補助金が特定の自治体に限った話ではないという点です。国土交通省の「地域公共交通確保維持改善事業費補助金(公共交通のバリアフリー化を支援する国の補助制度)」は関東運輸局を通じて神奈川県内のタクシー事業者にも適用されており、令和7年度も交付申請が受け付けられています。藤沢市内のタクシー会社も、この補助金の対象となり得ます。

■交付条件に「障害者差別解消法への理解」が明記されている

今回の資料でとりわけ重要だと感じたのは、補助金の交付条件に関する記述です。

助成金を受けるタクシー事業者は、UDタクシーの運送に関する定期研修を年2回以上実施することが義務づけられています。そしてその研修内容に、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)及び基本方針への理解に関するものを含めること」と国土交通省の通達で明記されています。

つまり、障害者差別解消法を理解していることを条件として公費でUDタクシーを導入したタクシー会社が、その車両しか乗ることのできない車椅子ユーザーから指定料金を徴収している——この構造は、補助金の交付条件と実際の運用が正面から矛盾しているのではないか、と私は考えます。

■補助金の目的と指定料金の間にある深い溝

補助金の目的は明確です。「環境性能が高く、誰もが利用しやすいユニバーサルデザインのタクシー車両の導入促進を図ること」。これが要綱に記された言葉です。誰もが利用しやすくするための公費が投入されているにもかかわらず、実際には車椅子ユーザーがその車両を使うたびに指定料金が課せられる。

私は車椅子ユーザーです。UDタクシー以外のタクシーには物理的に乗れません。私にとって「指定」は選択ではなく、唯一の手段です。その唯一の手段に割増料金がかかる仕組みを、「正式な手続きを経た料金」という言葉で片付けることが、はたして適切なのでしょうか。

■数字で見ると——公費の62.5%以上が「指定料金」に消える

藤沢市は、在宅で重度障がいのある方の外出支援を目的として、福祉タクシー利用券を交付しています。私が交付を受けている券は、1枚400円券で、1か月あたり6枚(計2,400円分)。これが年度末までまとめて交付されるので、4月に申請すれば年間で12か月分、合計28,800円分となります。1回の乗車につき2,400円分まで使えると券面に明記されており、月をまたいで何度でも使うことができます。

ここで、私のような車椅子ユーザーの場合を具体的に計算してみます。車椅子ユーザーはUDタクシー以外の車両に乗れません。つまり利用するたびに、必ず車両指定料金1,500円が発生します。

毎回の乗車で福祉タクシー利用券を使い、年間の交付分をすべて使い切ったとすると——1,500円の指定料金が年12回分で18,000円。これを年間交付総額28,800円で割ると、18,000 ÷ 28,800 × 100 = 62.5%。

つまり、UDタクシーしか利用できない車椅子ユーザーが、毎回の乗車で福祉タクシー利用券を使い、その利用券をすべて使い切った場合、交付された公費のうち62.5%以上、金額にして18,000円以上が、車両指定料金としてタクシー会社に流れる計算になります。

(「以上」ーー藤沢近郊のタクシー会社の初乗りは500円。運賃が900円以下に収まるような近距離利用がある場合、62.5%以上となる。ちなみに乗車料金が500円であっても、指定料金1500円は変わらず、乗車料金の3倍の指定料金が加算されることになる。)

市が障害者の外出支援のために交付した税金の62.5%以上が、「移動そのもの」ではなく「車両を指定したこと」への料金として事業者に渡る——福祉支援として交付されたお金が、いったい誰のために機能しているのか。市としても改めて問い直す必要があるのではないでしょうか。

■この問題を、見過ごすわけにはいかない

行政への問い合わせは、これまでも何度か行ってきました。しかし「正式な手続きを経た料金」「制度として今後の課題」という答えしか返ってきませんでした。正式であれば不合理であっても受け入れなければならないのか——私はそうは思いません。

今回の開示請求の結果が届いた後、補助金受給と指定料金の関係が文書として確認できれば、それを根拠として藤沢市議会への陳情書を提出することを考えています。税金の使われ方として、また障害者の移動の権利として、議会の場で正式に議論されるべき問題です。

開示請求の結果は、返答が返って来次第報告します。制度の壁は厚いですが、事実を一つずつ積み上げることが変化への第一歩だと信じています。あなたはこの仕組みを、どう思われますか。

NO IMAGE
最新情報をチェックしよう!