〜私、かなり怒っています!〜
先日、久しぶりにタクシーを利用しました。
私は電動車椅子を使用しているため、乗車できるのはユニバーサルデザインタクシー(UDタクシー)に限られます。UDタクシーとは、車椅子のままでも乗り降りできるよう設計された特殊車両で、障がいのある方や高齢者の移動を支えるために普及が進められています。
ところが、タクシーを呼んで乗り込む際に、毎回こんな現実と向き合うことになります。
「指定料金:1,500円」
迎車代500円とは別の追加料金です。メーターの下には「追加料金2,000円」と表示されています。指定料金がなかった6年前は3,200円で行けた道のりが、現在では5,400円以上。正直引きます。
■ UDタクシーは税金で普及した
藤沢市でUDタクシーが急速に普及したのは、2021年の東京オリンピック・パラリンピックがきっかけです。国はバリアフリー化を国策として推進し、トヨタ製「ジャパンタクシー(JPN TAXI)」の普及を後押し。その目的は「高齢者や障害者、外国人観光客など、誰もが安全・安心に利用できるバリアフリーな移動手段を社会全体に普及させること」でした。
国・神奈川県・各市から1台あたり数十万〜100万円規模の補助金がタクシー会社に支給され、藤沢市・茅ヶ崎市・鎌倉市などの湘南エリアでも導入が進みました。私たちの税金がUDタクシーの普及を支えたのです。
■ なぜ「指定料金」を払うのか
指定料金は関東運輸局が各タクシー会社の申請を審査・認可する仕組みです。藤沢市近郊のタクシー会社は軒並み1,000円以上を設定しており、先日確認した神奈中タクシー・小和田交通はいずれも1,500円でした。
普通のタクシーに乗れる人はこの料金を払わずに移動できます。しかしUDタクシーしか乗れない人は、選択肢がないにもかかわらず1,500円を払い続けなければなりません。これは「指定した」のではなく「そうするしかない」のです。
■ 税金の三重構造
【第一層】税金でUDタクシーを購入させる
【第二層】税金で障がい者にタクシー利用券を支給する
(目的:重度障がい者の通院・社会参加に伴う経済的負担を軽減すること)
藤沢市:月額2,400円、茅ヶ崎市・鎌倉市:月額2,000円
【第三層】その利用券が指定料金1,500円+迎車代500円でわずか1回の乗車で消える
ここで少し立ち止まって考えていただきたいのです。
重度の身体障がいを抱えながら生活している人の多くは、経済的に決して余裕があるわけではありません。自力で買い物や通院に行けず、誰かに頼むことも容易ではない。タクシーは贅沢品ではなく、生活を維持するための必要最低限の移動手段です。そうした人々への経済的救済として支給されているのがタクシー利用券のはずです。
しかし現実には、その利用券は指定料金1,500円と迎車代500円で、わずか1回の乗車でほぼ消えてしまいます。月2,400円の支給額では、実質的に月1〜2回の外出しか賄えません。生活の足を支えるために支給された税金が、タクシー会社の追加料金にそのまま吸い上げられていく——これは経済的弱者への支援を骨抜きにする構造です。
「障がい者への補助」が「障がい者への追加料金」の補填に消えていく構造です。
■ 補助金の趣旨に反していないか
補助金の目的は「障がい者が普通のタクシーと同じように移動できる社会をつくること」のはず。しかし補助金で買ったその車に乗るたびに1,500円を請求される。これは本末転倒どころの話ではありません。補助金を出した国・県・市も、この運用を認識しているなら黙認していることになります。
■ 2年前、国に聞いてみた
2年ほど前に関東運輸局へ直接問い合わせをしたことがあります。担当者は最初、何が問題なのかも分かっていない様子でした。最終的な回答は「今後の課題として検討する」。それから2年、指定料金は1,000円から1,500円へ50%引き上げられました。「検討する」という言葉が、“何も変える気のない”ときに用いる官僚文学の代名詞になっていますが、なぜこの異常さに役人が無関心なのか、私にはわかりかねます。
これは障害者や高齢者だけの問題ではありません。
誰でも年をとります。事故や病気で突然、移動に制限が生じることもあります。そのとき初めて、この理不尽な現実と向き合うことになるかもしれません。
そして忘れてはならないのは、UDタクシーの普及も、障がい者へのタクシー利用券も、すべて私たちが納めた税金で賄われているということです。その税金が本来の目的とは相反する形で使われ、不当な料金設定によってタクシー会社へ横流しされている——これは納税者全員に関わる問題です。
「誰もが使いやすい」ために税金で整備されたはずのUDタクシーが、最も必要としている人に余分な負担を強いている。この差別的な矛盾が横行している現状を、そして、税金が本来の意図とは全く異なる形で搾取されている状況を、まず知っていただきたいのです。
この現実に「おかしい」と感じた方が一人でも増えることが、変化への第一歩だと私は信じています。