毎年9月は「障害者雇用支援月間」です。カレンダーの上では目立たない月間かもしれませんが、障害のある人が働くこと、そして共に働く職場をどうつくるかを、社会全体で考えるための大切な期間です。
■障害者雇用支援月間の目的
この月間は、厚生労働省やJEED(ジード:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構。高齢者や障害者の雇用支援を担う国の機関)、都道府県などが協力して実施しているものです。その目的は大きく二つあります。
一つは、事業主だけでなく国民全体に向けて、障害者雇用への関心と理解を広げ、社会の機運を高めることです。もう一つは、障害のある人が仕事を通じて経済的・社会的に自立していく「職業的自立」を後押しすることです。雇用の数を増やすだけでなく、働き続けられる職場への定着も重視されています。
■月間中に行われる主な取り組み
期間中は全国でさまざまな啓発活動が行われます。
・障害者を積極的に雇用している事業所や、長年まじめに勤め続けている障害のある方を表彰する「障害者雇用優良事業所等表彰」 ・障害のある方などから「働くこと」をテーマにした絵画や写真を募集するコンテスト(最優秀作品は月間ポスターの原画として使われます) ・自治体によるパネル展示や講演会、ポスター掲示 ・アビリンピック(障害者技能競技大会の愛称。「アビリティ(能力)」と「オリンピック」を組み合わせた言葉)など、障害のある方が職業技能を競う大会
■数字の向こう側にある「一人ひとり」
日本には法定雇用率(ほうていこようりつ:障害者雇用促進法に基づき、企業が一定の割合以上の障害者を雇用するよう定めた基準)という制度があり、その水準は段階的に引き上げられてきました。制度の後押しは確かに大切です。しかし、雇用率の達成そのものが目的になってしまえば、本来の意味を見失いかねません。
障害の特性は一人ひとり異なり、必要な配慮もさまざまです。周囲の人がその特性や配慮について少し知っているだけで、職場は互いに安心して働ける場所に変わります。障害を「できないこと」として見るのではなく、「異なる能力(Different Ability)」として捉え、その人が持つ力を活かせる環境を整えること。それこそが、この月間が私たちに問いかけていることではないでしょうか。
■私たちにできること
障害者雇用は、企業や行政だけの課題ではありません。職場の同僚として、地域の住民として、あるいはお客様として、私たち一人ひとりが障害のある人の働く姿に触れ、理解を深めることが、共生社会への確かな一歩になります。
この9月、自分の職場の働きやすさを少しだけ見つめ直してみてはいかがでしょうか。